交通事故弁護ブログ@金沢LO

交通事故に関する法律問題を解説します。@石川県金沢市香林坊の若手弁護士

交通事故訴訟では「書証」が重要です

まずもって、民事訴訟では書証が重要

民事訴訟では書証が重要です。

書証とは、証拠となる書類のことです。

たとえば、契約の内容が争われている訴訟では、お互いの署名や押印のある契約書があればそれが基本的な合意内容だと考えられやすいです。契約書があるのに、それに反した合意があるということを主張したい場合には、立証のためにかなりの努力が必要です。

契約書のような基本となる書面がないような類型の訴訟でも、当事者の意思を示すとか、当時の状況を示すような書面は重要視されます。

交通事故で重要な書証は?

交通事故、特に人損事故では、様々な書面が作成されます。

交通事故証明書、警察官の実況見分調書、医師の診療録(カルテ)、診断書、休業証明書、後遺障害診断書、後遺障害等級認定票などです。

交通事故に際して作成されるものではないですが、従来の収入を証明する資料もとても重要です。

こうした基本的な書類が揃っており、きっちりとした内容になっているかどうかが非常に重要であり、事件の帰趨に関わるといえます。

通常はあるはずの書類がない、提出されない、提出するのを渋る、疑わしい内容になっている、というようなことがある場合には、その書証に関する主張が認められづらくなりますし、その当事者の主張全般の信用性にも疑問符がつくことになりかねません。

着実に準備しよう

これらの重要書類は、訴訟を起こしてから探していては遅いものです。また、訴訟を起こす段階で、ないことに気づいても、一から新しく作ることができないようなものです。

そうした準備不足や想定不足は、訴訟になると、大きなウィークポイント(弱点)になります。相手方が攻めやすい点になりますし、裁判所にも着目されてしまいます。

そのため、重要書類がちゃんと作られているか、また、その内容が納得行くものになっているかどうかについては、訴訟を起こすずっと前の段階から、着実に準備すべきなのです。

 

金沢法律事務所 弁護士 山岸陽平

弁護士費用と遅延損害金が認められるのはどんなとき?

訴訟を提起し、判決になれば、弁護士費用が認められる

一般的に、交通事故(不法行為)による損害賠償請求において、裁判所は、弁護士費用について、請求認容額の10%程度を事故と相当因果関係のある損害として認めています

つまり、実際に被害者が受任弁護士に弁護士費用をいくら支払ったか・支払うかにかかわらず、裁判所が認容した金額(他の被害額)に応じて、損害としての弁護士費用額が定まってくるということになります。→そのため、被害者が契約に基づいて受任弁護士に実際に支払う弁護士費用とは違いが出てくる可能性があるということになります。

なお、被害者が自動車保険の弁護士費用特約を利用した場合には、被害者に実質的な弁護士費用の負担がないことも多いことから、弁護士費用を損害として認めるかどうかについては議論のあるところです。しかし、弁護士費用相当額を損害として認めた判決例が存在します(京都地裁平成24年1月27日判決(交民45巻1号85頁)など)。

 

訴訟を提起し、判決になれば、遅延損害金が認められる

訴訟が長引くと、被害者が交通事故のときに受けた損害は、遅れて支払われることになります。ただ、判決(認容判決)になれば、損害賠償金そのもの以外に、遅延損害金も認められることになります。

交通事故による損害賠償訴訟の場合には、遅延損害金は、事故日から起算して年5%(民事法定利率)となります。

※民事法定利率については、今後の民法改正により、変更が生じる可能性があります。

www.nikkei.com

なお、遅延損害金は、支払われるまでが「遅延」ですので、一審判決後に一方が控訴するなどして支払いがさらに遅れた場合には、その期間についても遅延損害金が発生することになります。

訴訟を提起しなければ、弁護士費用や遅延損害金は損害として認められないのか?

訴訟を提起せずに交渉で解決する場合には、弁護士費用や遅延損害金を損害項目に計上することは少ないといえます。

計上してはならない、というわけではありませんが、計上を強制するルールはありません。ですので、計上しないことが基本です。

そのため、特に、被害者において「相手が加害者なのだから弁護士費用は相手が支払うべきだ」というご意見が強いと、交渉での解決が困難になる場合が多いです。

損害賠償請求のための弁護士費用で苦しまないためにも、自動車保険の弁護士費用特約は有用だといえます。

 

訴訟で、判決までに和解した場合にはどうなるか?

判決までに和解する場合には、和解が成立するまでの成り行きは様々ですので一概には言えません。

ただ、私や他の弁護士の経験を参考にして言うと、たとえば、裁判所が和解案を提示する場合、弁護士費用や遅延損害金は損害項目として示さないことが多いように思われます。弁護士費用や遅延損害金は、あくまで、判決になったときに出てくる項目、という印象です。

しかし、その代わり、「調整金」という名目で、解決金額の上乗せが図られることもありますので、必ずしも和解だからといって弁護士費用や遅延損害金の分がそのまま被害者に不利になるというわけではありません

 

金沢法律事務所 弁護士 山岸陽平

交通事故被害者へのアドバイス ~通院中から先を見て動きましょう~

通院中から弁護士に相談をしたほうがいい理由

たとえば、3か月以上、6か月以上など、相当長期にわたる通院が必要になった被害者の方は、通院中から弁護士に相談をしておくほうがよい、という話をしたいと思います。

通院中の医療費は、当分の間、相手方任意保険会社(または相手方自賠責保険会社)が負担してくれることが多いでしょう。

被害者からすれば、被害を受けてつらい中でとても助かる話ですし、当面の取扱について不満を持つきっかけはありません。

しかし、保険会社が治療費の全面的に面倒を見るのにも限りがあります。そのため、治療期間が長くなってくると、「症状固定」の診断書を医師に書いてもらい、治療は終了、という促しを受けるようになってきます。

治療期間が短くなる(=症状固定が早くなる)ことによって、慰謝料の金額が抑制されるほか、後遺障害の認定につながりにくくなる傾向にあります。そのため、保険会社は、支出を抑制するために、必然的に治療期間を重視せざるを得ません。

 

当分治らないけがは後遺障害を意識して動こう

一見紛らわしいのですが、病院で「症状固定」という診断を受ければ、後遺障害が残っているということだから、自動的に後遺障害の等級が認定される・・・というわけではありません

被害者が「治った」と感じない段階で「症状固定」の診断を受けたのに、自賠責で後遺障害の等級がつかないケースは多々あります。

そして、後遺障害が認定されるには、「症状固定」までの治療期間の長さも重視されています。

そのため、当分治らないけがであるという自覚を有しておられる場合には、病院でしっかり検査をしてもらった上で、きちんと通院を続けていくことが重要です。

 

弁護士をアドバイザーとして利用する

ということで、通院中、まだ症状固定していない段階で、なぜ弁護士に相談したほうがよいかというと、「治療期間」「症状固定」「後遺障害」について、ご自分のケースでは何を注意すればよいか知るため、であるといえます。

本当は痛いのに病院に行くのをやめた・・・というようなことがあった場合、弁護士に頼んだからと言って、ちゃんと通院をし続けた人と同じ扱いを受けることはまず困難です。

あとになって、ちゃんとしておけばよかった、あのとき知っておけばよかった、ということにならないよう、通院中から弁護士をアドバイザーとして利用し、将来、しっかりと被害回復をしていく足がかりを作ってほしいのです。

 

金沢法律事務所 弁護士 山岸陽平

弁護士費用特約を利用する場合の契約形態について

弁護士費用特約を利用して弁護士を依頼する場合の契約主体は誰か?

近年、主に交通事故事件に関して利用が活発化している弁護士費用特約ですが、基本的な事柄について整理してみます。

まず、大原則。

Q=「誰が弁護士と契約するのでしょうか?

A=「損害賠償請求権者(被害者)ご自身です。

被害者と保険契約者が異なる場合でも、弁護士費用特約によって弁護士費用が補償されることが多々ありますが、その場合でも、弁護士と契約するのは損害賠償請求権者(被害者)となります。

保険会社は費用を実質的に負担する立場ですが、弁護士と契約するわけではありません。

 

「保険会社支払基準」とは何か?

弁護士保険に関しての業務を行う日弁連リーガル・アクセス・センター(日弁連LAC)は、多くの保険会社と協定を結んでいます(保険会社名は後記します)。

日弁連LACは、「弁護士保険における弁護士費用の保険金支払基準」を定めています。その中で、「保険金支払いに関しては、最低でもこの基準を尊重した保険金支払を期待するものである」、「この基準は弁護士報酬そのものを算定するための基準というわけではなく、あくまでも保険金支払いに関して問題がない範囲の基準を示しているにすぎないものである」と述べています。

要するに、日弁連LACの「保険会社支払基準」に基づけば、多くの保険会社が円滑に弁護士費用を支払う、ということになっているわけです。

2016年10月現在の、協定保険会社・共済は、以下のとおりです(これとは別に、弁護士費用特約の制度は導入しているけれども日弁連と協定は結んでいない、という保険会社もあります)。

 

着手金・報酬金方式と時間制報酬(タイムチャージ)方式

 弁護士費用特約を利用して弁護士に事件処理を依頼する場合の報酬方式として日弁連LACの「保険会社支払基準」は、「着手金・報酬金方式」、「時間制報酬(タイムチャージ)方式」、「手数料方式」の3つを挙げています。

このなかで、最も多く用いられているのは、「着手金・報酬金方式」だと思われます。また、「時間制報酬(タイムチャージ)方式」や「手数料方式」が用いられることもしばしばあります。

ここでは、「着手金・報酬金方式」と「時間制報酬(タイムチャージ)方式」について説明します。

着手金・報酬金方式

着手金とは、弁護士が依頼者の依頼に応じて事件処理に着手する段階で受けるべき委任事務処理の対価です。事務処理の成功不成功にかかわらず受任時にいただくものです。

報酬金とは、基本的には、委任事務によって得られた利益などに基づいて算定されるものです。これは、着手金とは別にかかってくるものです。

要するに、着手したタイミングと結果が出たタイミングで、弁護士費用が生じます。

これは、弁護士費用特約での受任に限らず、多くの場合に弁護士がとる方式です。

時間制報酬(タイム・チャージ方式)

時間あたりの弁護士費用の単価を設定するやり方です。

特に、大きいとはいえない金額をめぐる争いにおいては、「着手金・報酬金方式」では、報酬金が小さくなりすぎるなどの事情から、弁護士の受任が得にくいことがあります。そこで、弁護士保険制度では、少額事件についても弁護士が積極的に受任するよう、時間制報酬(タイム・チャージ方式)を認めています。

日弁連LACは、時間制報酬(タイム・チャージ方式)をとる場合、弁護士が保険会社に対し毎月1回の割合で執務報告をするよう、各弁護士に求めています。

 

弁護士費用特約を利用して弁護士に相談・依頼を開始したい場合は?

保険会社・日弁連LACを介して紹介してもらう方法

弁護士費用特約を利用したいけれども相談できる弁護士を知らない、という方には、上記に挙げた日弁連LACと協定を結んでいる保険会社であれば、日弁連LAC・各弁護士会を経由して、地元の弁護士を紹介することができます。

この紹介は、弁護士会にある名簿順など、ランダムな方法によります。

相談する弁護士・依頼する弁護士を自分で決める方法(推奨)

相談したい弁護士・依頼したい弁護士がいるときには、損害賠償請求権者(被害者)がご自分で指名して、弁護士に相談・依頼をすることもできます。

弁護士費用特約は、弁護士を選ぶことができるメリットのある仕組みになっています。

そのメリットを活かし、弁護士費用特約を利用した依頼者の案件を積極的に受任し、依頼者に明確な説明をしている法律事務所・弁護士をお探しになるほうが、納得の行く解決につながっていくのではないかと思います。

 

金沢法律事務所 弁護士 山岸陽平

被害者の近親者独自の慰謝料について

被害者本人に対する慰謝料以外に、被害者の近親者に慰謝料は認められるか?

被害者の近親者の慰謝料が認められることがあるか?

答えは、YESです。しかし、認められる場合は限られます。

 

死亡慰謝料では、被害者の近親者の慰謝料は認められる

死亡慰謝料について、赤い本(日弁連交通事故相談センター東京支部発行)は、目安となる金額を示した上、「本基準は、死亡慰謝料の総額であり、民法711条所定の者とそれに準ずる者の分も含まれている」としています。

本来、理屈上は、被害者本人が有する慰謝料を相続するという法形式を取り、それとは別に個々の近親者が各自で慰謝料を取得できるはずです。しかし、赤い本の考え方は、相続構成で一本化されているといえます。

もっとも、赤い本も、具体的な斟酌事由により増減されるべきもので、一応の目安であると言っていますので、具体的ケースに応じて、近親者のうちで極端な不利益を受ける人がないように調整される、ともいえます。

 

後遺障害慰謝料では、被害者の近親者の慰謝料は、限られた場合に認められる

後遺障害慰謝料では、裁判例の傾向では、近親者が死亡に比肩するような重大な精神的苦痛を受けた場合に限り被害者の近親者の慰謝料が認められる、といえます。

自賠責における後遺障害の等級が1、2級であるとか、高次脳機能障害が関係するなどして被害者の身の回りのケアなどについて家族の負担が非常に重くなるようなケースについては、被害者の近親者の慰謝料が認められる傾向にあります。

ただ、介護負担の費用として認められるものではないので、金額は本人分の1~2割程度にとどまることが多いようです。

 

傷害慰謝料では、被害者の近親者の慰謝料は、原則認められない

傷害慰謝料については、事情に応じ、被害者本人分の慰謝料が増額されることはありますが、被害者近親者の慰謝料として別立てで認められることは、まずないといえます。

 

被害者の近親者の実際の苦労は多大なものがありますが、裁判では相当程度定型化した判断になりやすいところがあります。それでも、弁護士が要諦を踏まえた代理人活動をすることで、被害者近親者の声が裁判所に伝わり、慰謝料認容額の増額につながるという面はあるでしょう。

 

金沢法律事務所 弁護士 山岸陽平

自賠責の後遺障害等級と労働能力喪失率、裁判ではどう扱われるか?

労働能力喪失率とは?

後遺障害(後遺症)の逸失利益を請求する場合、鍵となる要素は、「基礎収入」、「労働能力喪失率」、「労働能力喪失期間」です。

要するに、後遺障害が残存していることで、「もともとどれだけの収入が見込めていた人」が「どれだけの率で労働能力を失った」か。そして、「それが何年間続くか」ということです。

労働能力喪失率は、自賠責保険において、等級に応じて定められています。

以下のサイトにまとめられています。

後遺障害別等級表・労働能力喪失率

 

自賠責保険における考え方と裁判における考え方の違い

自賠責保険の後遺障害認定は、労災の制度に準ずるとされているのですが、労災では、労働能力について、一般的な労働能力をいうものとされており、個別の職業能力的諸条件を考慮していません。そのため、等級すなわち定率の労働能力喪失率となります。

しかし、不法行為による損害賠償は、被害者に具体的に生じた不利益を補填し、不法行為がなかったときの状態まで回復させることを目的とします。そのため、裁判においては、自賠責保険の後遺障害等級を参考にしますが、個々の職業能力的諸条件を具体的に検討した上で判断されます。

そのため、裁判で自賠責の労働能力喪失率が認められないことが少なくありません。特に、実際の労働形態への影響がごく小さい場合や減収が認められない場合には、認定される労働能力喪失率が自賠責の規定を下回ってくることがよくあるといえます。

弁護士であっても、「自賠責保険が最低補償を目的としている」という固定観念で臨みやすいのですが、注意すべき点です。

逆に、職業などとの兼ね合いで、自賠責によるものを大きく超える労働能力喪失率が認められた判決例も存在します(たとえば、60歳女子ダンス教室インストラクターの自賠責併合14級認定後遺障害逸失利益について、具体的不利益から労働能力喪失率50%を認めた札幌地裁平成27年2月27日判決(自保ジャーナル1945号46頁)など)。

訴訟提起の場合には、自賠責等級の労働能力喪失率を当然認められるものと考えず、丁寧に主張立証していくべきだといえます

 

労働能力喪失期間の問題もある

後遺障害の逸失利益の関係では、労働能力喪失期間の問題も非常に大きなポイントです。

永続する後遺障害だとすれば、一般的には労働能力喪失期間の終期は67歳として計算されています(現在の世の中でそれが妥当かどうかの問題はありそうですが)。

しかし、労働能力喪失期間を10年、5年、3年等に制限する判決例もあります。特に多いのは、むち打ち症で12級や14級という場合です。裁判に至らないまでも、加害者側保険会社が労働能力喪失期間を2~5年程度として提案してくることも多いように思います。

労働能力喪失期間の問題については、今後また取り上げてみたいと思います。

 

金沢法律事務所 弁護士 山岸陽平

自動車保険の弁護士費用特約は、どんなときに使ったほうがいい?

自動車保険の弁護士費用特約、入っていますか?

自動車保険の弁護士費用特約は、被害者にかかる弁護士費用を保険会社が補償するしくみです。

近年では、自動車保険に入る人の半分程度は、弁護士費用特約を付帯させているということです。

ちなみに、弁護士でも、弁護士費用特約をつけている人は多いと思います。それだけ加入するメリットのある特約だろうと思います。

自動車保険の弁護士費用特約のメリット・デメリットについて、簡単にまとめてみることにします。

弁護士費用特約を使って法律相談しても、自動車保険の等級はダウンしません

自動車保険の賠償保険を使って相手方に賠償金を支払ったり、車両保険を使って自分の車両を修理したりすると、基本的に翌年の等級が3等級ダウンします(数字が増えます)。たとえば、下の保険会社のサイトをご覧ください。

www.ins-saison.co.jp

 

この等級ダウンを嫌って、事故に遭った際にも保険を使わずに対処される方は多いです。賠償金や修理代の補償を受けられても、それ以上に先々の保険料の支払いが多くなってしまうことがあるからです。

しかし、弁護士費用特約を使うだけでは、自動車保険の等級はダウンしません

そのため、たとえば、「相手方保険会社が提案してきている賠償金額が適正なのか」を見てもらうために弁護士に相談したい、というときには、等級ダウンや保険料アップを心配せずに弁護士に相談できます。

弁護士費用特約を使って賠償請求を弁護士に依頼する場合の自動車保険の等級は?

相談だけではなく、特約を使って弁護士を代理人に立てても、自動車保険の等級はダウンしません

ただし、弁護士特約とは関係なく、ご自分の側に過失が認められるような場合には相手方への賠償金支払いのために等級ダウン事故扱いを取らざるをえないことがあるでしょう。また、相手方が無保険であり資力がない場合には、裁判で勝訴しても回収ができず、ご自分の車両保険を使うことになり、結果として等級ダウンにならざるを得ないことがあります。

また、弁護士費用特約では、相手方から訴えられた場合を適用対象としていないことが多いので、訴えられた場合の弁護士費用をどうするかについては、依頼先の弁護士やご加入の保険会社と話し合うことが必要になります。

弁護士への相談、依頼が有用なケース

事故による症状が長く残存し、後遺障害が認定される可能性のあるケースでは、弁護士に依頼することで増額する可能性や増額幅が大きくなります。

他方、身体的なダメージが小さく、物損だけの問題であれば、弁護士に依頼しても大きな金額の増加は見込みにくいところです。ただ、金額の小さい話であっても、交渉や訴訟を代行してもらえるというメリットはあると思います。

デメリットは、相手方との交渉・訴訟が長くなることもあること?

すでにご説明のとおり、弁護士費用特約は、利用しても等級ダウン扱いにはなりませんので、金銭的なデメリットはあまり見当たりません。

被害者(ご依頼者)の方がお感じになる精神的なデメリットとしては、相手方との交渉・訴訟が長期化する場合がある、ということがあります。しかし、一旦弁護士に交渉や訴訟を依頼すれば、保険会社と逐一話をしたり、裁判所に毎回出廷するという必要はありませんので、細かくて面倒な状態が続くというわけではありません

弁護士に依頼することにより、賠償金や慰謝料の増額を得られることも多く、被害が大きければ大きいほど、その差額が大きくなることが多いので、面倒という理由で諦めるのはもったいないことだと思います。

同居家族、別居親の自動車保険の特約を利用できる場合も

自動車保険契約は、ご家族までカバーすることが多いものです。弁護士費用特約も、同居家族や別居親の利用を認めていることが多くあります。

弁護士費用特約を利用できれば、弁護士に相談・依頼することで、被害者案件を有利に解決しやすくなりますので、ご家族が交通事故に遭われた際には、ご家族加入の自動車保険をチェックし、わからないことがあれば保険会社に問い合わせるようにしましょう。

保険会社には、相談の前に、相談先の弁護士名を伝えましょう。

 

金沢法律事務所 弁護士 山岸陽平