交通事故弁護ブログ@金沢LO

交通事故に関する法律問題を解説します。@石川県金沢市香林坊の若手弁護士

嗅覚脱失による後遺障害等級認定

自保ジャーナル2004号(2017年12月28日号)から。

この号で着目したのは、嗅覚脱失のケース。

掲載されている判決は、横浜地裁平成29年5月18日判決(中山典子裁判官)。「12歳男子の12級嗅覚脱失(12級神経機能・精神障害もあり併合11級)は職業選択の範囲が制限される等から67歳まで14%の労働能力喪失を認めた」というもの。

また、参考判決として、以下が挙がっている。

横浜地裁平成25年6月28日判決(自保ジャーナル1904号)・・・12級嗅覚脱失等併合11級の41歳有職主婦。基礎収入をセンサス女性労働者学歴計とし、67歳までの26年間14%の喪失。

東京地裁平成25年11月13日判決(自保ジャーナル1915号)・・・12級嗅覚脱失等併合11級の27歳男性飲食店勤務。実収入を基礎収入として、67歳までの38年間14%の喪失。

東京地裁平成27年9月9日判決(自保ジャーナル1961号)・・・12級嗅覚脱失等併合11級の63歳蕎麦屋経営。基礎収入を原告主張の200万円として、平均余命の半分の約9年間20%の喪失。

 

今回掲載の判決が職業選択の範囲の制限を指摘しているほか、参考判決のうち2件が飲食業の被害者であることからすると、事故後に嗅覚脱失がいかに実際の収入源に結びつくのか、あるいは、将来の就労における選択肢を失わしめるのか、主張立証に取り組む必要があると思われる。

また、本件も参考判決も、いずれも自賠責併合11級のケースである。本件の判決文でも、「原告には、頭部外傷後の神経系統の機能または精神の障害について局部に頑固な神経症状を残すという後遺障害が残存していることを総合考慮すれば」という箇所があり、併発している後遺障害との兼ね合いも大きそうである。

 

弁護士 山岸陽平 (金沢LO)