まずもって、民事訴訟では書証が重要
民事訴訟では書証が重要です。
書証とは、証拠となる書類のことです。
たとえば、契約の内容が争われている訴訟では、お互いの署名や押印のある契約書があればそれが基本的な合意内容だと考えられやすいです。契約書があるのに、それに反した合意があるということを主張したい場合には、立証のためにかなりの努力が必要です。
契約書のような基本となる書面がないような類型の訴訟でも、当事者の意思を示すとか、当時の状況を示すような書面は重要視されます。
交通事故で重要な書証は?
交通事故、特に人損事故では、様々な書面が作成されます。
交通事故証明書、警察官の実況見分調書、医師の診療録(カルテ)、診断書、休業証明書、後遺障害診断書、後遺障害等級認定票などです。
交通事故に際して作成されるものではないですが、従来の収入を証明する資料もとても重要です。
こうした基本的な書類が揃っており、きっちりとした内容になっているかどうかが非常に重要であり、事件の帰趨に関わるといえます。
通常はあるはずの書類がない、提出されない、提出するのを渋る、疑わしい内容になっている、というようなことがある場合には、その書証に関する主張が認められづらくなりますし、その当事者の主張全般の信用性にも疑問符がつくことになりかねません。
着実に準備しよう
これらの重要書類は、訴訟を起こしてから探していては遅いものです。また、訴訟を起こす段階で、ないことに気づいても、一から新しく作ることができないようなものです。
そうした準備不足や想定不足は、訴訟になると、大きなウィークポイント(弱点)になります。相手方が攻めやすい点になりますし、裁判所にも着目されてしまいます。
そのため、重要書類がちゃんと作られているか、また、その内容が納得行くものになっているかどうかについては、訴訟を起こすずっと前の段階から、着実に準備すべきなのです。
金沢法律事務所 弁護士 山岸陽平