勉強のため、『自保ジャーナル』を購読しています。交通事故の判決例(判例)を中心に掲載している雑誌です。
1985号(2017年3月9日号)が届きました。
普段思っていることに関連して、気になった判決例がありました。
大阪地裁平成28年7月15日判決。「合図から進路変更まで1秒に満たないことから、後続原告自動二輪車には回避不能として過失を否認した」という判決例です。
このケース、時速10~20キロメートルで進んでいた普通貨物車が側道から本線に進入するにあたって、本線の自動二輪車(時速約40キロメートル)に衝突したのですが、普通貨物車が合図から右ハンドルを切るまでが約0.36~0.72秒であり、右ハンドルを切ってから衝突までが約1.15秒との認定です。
方向指示器による合図について、原告の主張は、「合図なし(仮に合図があったとしても進路変更直前であり対処不可能)」というもの、被告の主張は、「合図あり」というものでした。
どうやって、合図の事実や秒数を認定したのかというと、事故直後の実況見分に基づいて作成されたという実況見分調書(実況見分書)記載の内容からだということです。
事故態様が争われるケースでは、実況見分調書が重視されることがよくわかります。
ドライブレコーダーなどのさらなる普及と証拠利用が進めばまた変わってくるのでしょうが、現状はアナログ、叙述的な根拠での事実認定が主流です。
そして、私自身が車社会である石川県などで運転していて思うことですが…。
実際は、進路変更をし始めてから方向指示器の合図を出す車がかなり多いです。
この場合、進路を変えたいよという合図は、実質的には、車線をまたぐことで行われています…。体を使って、割って入るような感じです。
そうした「車線またぎ先行型」の進路変更がなされて事故が起きた場合、どれだけの割合で、進路変更後に合図を出したことが実況見分調書の内容になっているのかな、と思います。それほど、進路変更動作後のウインカーが多いように感じます。
事故の相手方がそういう運転をしていたということを、相手方否認の場合に立証するのは大変だと思いますので、ドライブレコーダーをつけたほうがいいんでしょうねぇ…。